Vol.88 6月の葉山、紫陽花と梅雨の静寂
国道を走り、葉山に到着するとあいにくの雨だった。
梅雨時に旅行するなんて、
気持ちは晴れないし、景色も良く見えないし、期待出来ないなぁ。
始めはそう思っていた。
よく見ると、小雨の葉山は白く煙って、海岸通りには傘が開いている。
車を降り歩いてみると、いつもより静かで車も少なく、
飾り気のない葉山本来の美しい姿であることに気が付く。
葉山チックなおしゃれカフェも、隠れ家レストランも
この時期には余裕で座れて、店のマスターとまったりお話も出来た。
お店もこれからの夏本番シーズンを前に一休み。
嵐の前の静けさ、とマスターは言う。ひと夏の人口増加は避暑地の宿命なんだろう。
今日は、マスターに教えてもらった花の名所を2箇所、訪ねることにした。
店を出るころには雨は止み、曇り空に透明感が出てきた。
時折薄日が射し、街や樹々に明るい立体感が見てとれる。
ちょっと心躍る、運の良さである。
<あじさい公園>
最初に訪れたあじさい公園は、三ケ岡山の麓にある景勝地。
約3000株のあじさいが咲いて、「神奈川花の名所100選」にもなっている。
駐車場はないので、バスを利用。葉山町「向原」で下車、
信号から海に向かって道を下ると約10分で入口の看板を発見できる。
階段を登り、坂道を行くと両側に、雨露に光るあじさいの花が広がる。
紫、白、ピンク、どれもが淡い色合いで、自然が織りなすグラデーションは優しく可憐である。
葉の色も瑞々しいミントグリーン。
この葉っぱの色があることで花は一層鮮やかさを増すことを感じた。
今日は雲がたなびいてシルエットだが、晴れた日には
頂上からはあじさい越しに江の島や富士山、箱根の山々が眺められる。
<しおさい公園>
次に訪れたのは、敷き詰めた玉砂利がしっとりと光る「しおさい公園」。
さすがに御用邸と関わりのある園内は厳かで和敬清寂の趣。
錦鯉遊ぶ池を見ながら回遊する。
海側の松林をあじさいを見ながら散策する。
梅雨の晴れ間から落ちる木漏れ日に紫が映える。
気が付くと目の前に一色海岸の波頭が現れた。
人気のない浜辺ではすでに海の家が建設作業に入っている。
今は喧噪の真夏を前に、純粋な波の音や鳥の声が、私の気持ちを癒してくれる。
春先に見た梅林をを通ると梅の実が愛らしく付いている。
黄色から黄緑に変わる梅の実は頬のように赤みを帯びている。
梅雨の文字通り梅は今が旬なのだ。
季節を象徴する梅は食中毒などの体調を改善すると言われている。
旬の食材は身体を守る、実に上手く出来ているものだ。
6月の葉山旅は、
足元にあじさいを、葉陰に梅の実を堪能できた。
梅雨のイメージを拭い去る、色鮮やかな旅だった。
日本を代表する避暑地、軽井沢の住人は
観光客が大勢訪れる夏ではなく、最もいい季節は6月と10月だという。
確かにここ葉山もそうなのかも知れない。
葉山一色は、一つの色と書くが、
この時期の一色の小道では、七色の花が咲いている。
あじさい公園
https://www.town.hayama.lg.jp/asobi/kouen/5690.html
葉山しおさい公園
https://www.town.hayama.lg.jp/soshiki/shougaigakushuu/2/2/7822.html
In Hayama in June, hydrangea and Japanese apricot are beautiful.
Yoshifumi,
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「暮らすように滞在する」五感で楽しむ葉山
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