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Vol.87 葉山と人と文学碑 堀口大学、石原慎太郎、泉鏡花らの足跡を刻む葉山

温暖で明媚な保養地として、多くの文化人や政治家に好まれた葉山には
その足跡を刻む記念碑が数多く建立されている。

この地に腰を下ろした偉人達は、
磯辺に吹く風を
波頭を照らす夕日を愛したのだ。

そして、葉山町民はもとより
国民に愛され心のふるさとを慈しむ言葉を数多く残している。

森戸神社の境内にある、葉山町名誉町民である堀口大学の記念碑。「花はいろ 人はこころ」と刻まれている。
   
例えば、葉山町名誉町民である堀口大学は
フランスを中心にヨーロッパ文芸の翻訳にいそしみ
日本の詩と文学に多大な影響を与えた。
生涯を通して、300点にも及ぶ著訳書が刊行されている。
葉山町図書館には堀口大学文庫が設けられている。

葉山図書館で堀口大学について学びにやってきた。

また、堀口家は葉山のシンボルともいえる御用邸、天皇家とも親交が深いと言われていた。

森戸神社の境内にある文学碑には
「花はいろ 人はこころ」と刻まれている。 

この言葉は、あの女優・森光子さんが
好んで色紙などに書いていたことでも有名だ。

    「花は色 そして匂い。あなたは心 そしてやさしさ。
     雨の日には 雨を愛そう。風の日には 風を好もう。
    貧しくは 心に富もう 
    晴れた日は 散歩をしよう。」

葉山町歌もまた、堀口大学の作詞である。
   
    「 山はみどりに海青く 遠見の富士はけざやかに 近い名島の大鳥居
    竜宮城もあのあたり 凪うつくしき葉山かな 夢ゆたかなる葉山かな
    
     花の木を名の山つゝむ 春の炎の紅つゝじ 夏は夏とてあじさいの
    にせ紫の濃き淡き 花うつくしき葉山かな 夢ゆたかなる葉山かな
    
    町のまほろば一色に 宮居しずまる御用邸 町の誇りと町びとの
     ふりさけ仰ぐ松の空 人うつくしき葉山かな 夢ゆたかなる葉山かな」
   
そして作曲は、團伊玖磨である。
團伊玖磨はオペラ、クラシック音楽や童謡、で日本を代表する作曲家であり
30余年に及ぶ連載エッセイ「パイプのけむり」は読売文学賞を受賞している。  
葉山、横須賀市秋谷と湘南の風光を愛した芸術家である。

逗子海岸に燦然と輝く、小説家・石原慎太郎の文学碑

葉山の観光名所としてもおなじみの
石原慎太郎の文学碑は、逗子海岸に燦然と輝いている。

小説「太陽の季節」「狂った果実」は
海と夏と若者の様子を描き、文学界に大きな反響と変革をもたらした。
石原兄弟が葉山、逗子で過ごした日々がなければ生まれなかった問題作である。
    
太陽族の元祖・石原裕次郎は一躍スターとなり、
人生を通してこの地で永遠の青春を謳歌したのだ。

森戸神社の磯辺には、故・石原裕次郎の碑があるが、
沖合に立つ裕次郎灯台のシルエットも見逃せない。

太陽族の元祖、俳優である故・石原裕次郎の碑

記念碑には裕次郎を偲ぶ文字が刻まれている。
    「夢はとおく 白い帆に のって消えていく 消えていく 水のかなたに 
    太陽の季節に 実る 狂った 果実たちの 先達 石原裕次郎を偲んで 」

立石公園にある、泉鏡花の「草迷宮」が刻まれた碑。
   
泉鏡花の「草迷宮」は横須賀市秋谷を舞台にした小説で特有のロマンティシズムに包まれた
怪しい物語だ。立石公園の碑にはその一節が刻まれている。
     
    「大崩れの巌の膚は春は紫に、夏は緑、
     秋は紅に、冬は黄,藤を編み、蔦を纏い、
     鼓子花も咲き,竜胆も咲き、尾花が靡けば月も射す。」

月明りだけが海岸線を照らしていた当時が伺える。
明治39年から逗子で過ごした泉鏡花の記念碑は、葉山の海岸を見下ろす大崎公園にもある。

泉鏡花の文学碑がたたずむ、大崎公園。うさぎ型の文学碑には「秋の雲 尾上のすすき 見ゆるなり」と記されている

うさぎの型の文学碑には「秋の雲 尾上のすすき 見ゆるなり」と刻まれている。 
ラッキーアイテムとして泉鏡花がコレクションしていたうさぎが可愛く座っている。

立石公園の様子。海の向こうに富士山がはっきりと見えている。
    
このように湘南の海浜にゆかりの文化人たちは、
きっと海と山に恵まれた美しい環境に
ある時は癒され、ある時は励まされ
長い歴史に大いなる遺産を残してきたのだろう。

彼らの作品や人柄には、潜在的に地域特有のエッセンスが溢れているように感じる。

葉山図書館で見つけた、堀口大学の全歌集。

葉山図書館には、堀口大学の生い立ちも詳しく記されていた。

晴れた日には本を片手に記念碑を巡り、
彼らの見た・感じた葉山周辺を歩いてみるのも素敵な時間だ。

何度か葉山を訪れ、主要な観光地はまわってしまったという方
文学をこよなく愛する方
五感で葉山と文学を感じてみたいという方

に、ぜひおすすめしたい葉山の過ごし方である。

Chase footprints of the great men connected with Hayama and get to touch their life.

Yoshifumi,