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vol.19 葉山のツバメ

Swallow brings luck to the house or restaurant according to Japanese legend.

葉山では、つばめをよく見かける。
とある海沿いの小さなレストランの軒下には、毎年つばめが巣を作る。
つばめが巣を作る家や店には繁盛がもたらされる、と日本では昔から信じられていたそうで、
この店の店主もそれを信じ、毎年数週間のつばめとの共同生活を楽しみにしている。

でも、今年のつばめは少しだけ例年のつばめとは様子が違った。
軒下をじっくりと内覧をし、夫婦で協議を重ねた結果、巣作りを始めたのに、丸2日たってもちっとも巣作りが進まない。
決してさぼっているわけではなく、2羽で一生懸命にどこからか土や草を拾ってきては壁に貼り付けようと試みる。
何が悪いのか分からないけれど、なかなか巣材が壁に張り付かない。
何十回も、何百回も軒下の壁に土を運ぶのに、1ミクロンたりとも壁にはくっつかないのだ。
店主は「上手に巣を作っている隣近所に、巣の造り方を聞いてきたら良いのに!」と気をやきもきとさせて見守った。
でも。やっぱり全く進まない。

見かねた店員は、お隣の工事現場から針金を調達し、せめて巣の土台になれば、とお椀型のフレームを作り巣作りに決まった場所に
何とか括り付けた。更に、隙間から雛や卵が落ちてしまわぬ様に紙を敷き、その中にはギフトラッピング用の紙製の緩衝材を敷き詰めた。
怪訝そうに戻ってきたつばめの夫婦は、あっという間に出来上がった巣を見ると、2人してその中にちょこんと入り、嬉しそうに落ち着いた。

何とも過保護だし、だいたい、巣作りもまともにできない親鳥が、ちゃんと卵を温めて、孵化した雛を育て上げられるのか?
自然の世界にそこまで手を出して良いのか?
疑問と不安が過るものの、一度共同生活の覚悟を決めたからには、何とか無事に雛が巣立つまでは全面的にサポートをする事にしたそうだ。

今では、針金フレームに自分達で何とか土を貼りつけて補強をし、5つの卵を夫婦交代交代で温めている。
朝、店主と店員が店に来ると、とても涼やかな美しい声でつばめ夫婦が会話をしているそう。
子育てについての夢を語っているのか、次の長旅のルートを相談しているのか。

つばめの家族は、ほんの一角を間借りする代わりに、とても美しいお喋りと、甲斐甲斐しい子育ての姿と、愛らしい雛の成長を見せてくれる。
お店に来る子供たちはもちろん、大人も、時には犬たちも、その成長と巣立ちの時を楽しみにしている。

今年もどうか、皆無事に旅立てます様に!

Good luck for all families of swallow !
nahoko,