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Vol.94 葉山の小道を巡る旅

大通りから細い小道を入り、くねくねと何度か曲がると、The Canvas Hayama Parkは見えてくる。

すこし分かりにくい、わずかに先が見えない、そしてやがて現れる目的地。
期待と不安の後にほっと笑顔になる。
路地は不思議な場所、小道は魅力的な空間。

今回は葉山の海や丘に伸びる、細くて愛らしい小道を歩いてみる。


■近代美術館の近く、一色海岸への小道
長く続く石畳の彼方に紺碧の海が見える。
蔦に覆われた石塀の先に輝く砂浜が続く。

何故か歩いていて人と出会わない、話声もそれほど聞こえてこない。
静かな空気が漂い、木漏れ日が美しく、気持ちよく涼しい。

近代美術館の近く、一色海岸への道

■近代美術館近く、石垣の坂道
苔むしたというより海風に洗われたような石垣が、ずっと昔から由緒ある屋敷を守っている。
どんな人が住んでいるのだろう?
いつのまにか自分なりの物語を頭の中に描いている。

妄想は楽しい。いつの間にか主人公になって、
例えば明治の世にタイムスリップしたり、またはジブリの絵の中に迷い込んだり。

近代美術館道路向かいの坂道

■御用邸としおさい公園の間の小道
葉山御用邸の石塀は長く100年もの間、微動だにせず存在している。
片側にはしおさい公園の松林や深い緑の樹々が大木となって、小道に絶妙の影を落としている。

海からの強い風で皆同じ向きに身体を傾け、舞い上がる砂を受け止める。
塀は海への道しるべのように必ずそこへ案内してくれる。

海に抜ける小道は浜に近づくほどに砂が靴の中に入り込む。
緑のトンネルを過ぎると眩い日差しに幻惑される。
一色海岸入口という案内板のない小道を探して散歩しよう。
あの角を曲がれば、見えてくる小さな発見にちょっとわくわくだ。

御用邸としおさい公園の間の小道

■しおさい公園と近代美術館の間の小道
しおさい公園と近代美術館が挟む小道は、真っすぐに海まで伸びてきれいな敷石はゴミひとつ落ちていない。
美術館のよく手入れされた生垣からふいにカップルが現れて、手をつなぎ、海の方へ歩いていく。

美しい小道を見つけた、うれしそうな様子に共感する。
道の終わりには紺碧の相模湾が暖かい午後の日差しを受けて、ゆったりと満ちている。

しおさい公園と近代美術館の間の小道

■佐島石の石垣が続く小道
県立近代美術館の道路を挟んで山側の小道は、
果ては一色の森山神社に抜ける風情ある路地で、横須賀市湾岸で産出する佐島石の石垣が続く。

半世紀は経過している趣の石垣や土塁はほどよく風化し古民家にマッチしている。
鬱蒼とした庭とこんもりと色づく橙や琵琶の実。
色褪せた表札はローマ字で綴られて、渋い味わいがある。

家々は昭和の風情を残す洋館、あるいは縁側が主役の古民家が鳥のさえずる木立の向こうに
見え隠れする。

佐島石小道あたりの琵琶の木のある石段レストラン「えんがわ」から登る坂道三が丘から一色へ抜ける佐島石の石垣の小道

■長者が崎の坂道
長者が崎は葉山の最南端に位置する岬で、いい波が寄せるサーファーたちのメッカである。
国道を挟んで山側には葉山ハートセンター、ホテル「音羽の森」、やウエディング施設が立ち並び
このあたりを日本のアマルフィーと呼ぶ人もいる。

道路から長い階段を上がって行くと見晴らし絶好のテラスやベランダ、ウッドデッキを持つ住宅が上の方まで続き、
きらきらと輝く相模湾を眺めることが出来る。

坂道はけっこう大変だが、この風景ならば頑張って歩けるというものだ。

長者が崎山側の坂道

路地、小道はただ通り抜けるだけの道ではなく、
それ自体を訪れたい魅力でいっぱいの自由な空間である。

ゆっくり歩いたり、ふと、立ち止まったり、
路傍の石に腰かけたり、過ぎる風景が心地よい。

晴れた朝も、雨降る午後も樹々の緑は美しく、風はかぐわしい。

葉山は歩いてわかる見どころがたくさんある。
ぜひ一度、葉山の名も知らぬ細い小道で迷ってほしいものだ。

Hayama, a journey around a path.
Yoshifumi,


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「暮らすように滞在する」五感で楽しむ葉山
The Canvas Hayama Park
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