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Vol.108 澄み渡る季節、バスで巡る早春の岬 その2

前回は逗子駅から「葉山海岸回り」行きのバスで巡る岬巡りをお届けした。

神奈川県立近代美術館でバスを降り、しばらく歩くと「葉山しおさい公園」へ辿り着く。
葉山御用邸の付属邸跡地に、1987年に開園した町民憩いの場所である。

しおさい公園の滝 

「噴井の滝」から流れ落ちる水もようやく温む初春を迎え
紅白の梅が鮮やかに開き、鯉が遊ぶ池を中心に四季折々の風情が楽しめる。

しおさい公園入口。石門の左に木の看板があり、大きくしおさい公園と書かれている。

園内のしおさい博物館には、昭和天皇の採集した生物の標本などが展示されている。
海側の一角からは、一色海岸と彼方に富士山を見ることができ、
寄せては返す潮騒に、懐かしい旅情を感じるのは私だけだろうか。

御用邸石塀。バス停「葉山」には青いバスが停車している

そのまま歩き進むと御用邸の長い石壁がみえてくる。
太い蔦が覆い、長い時の経過と由緒ある歴史を刻んでいる。

午後の穏やかな日差しを受けて交差点を小道に入ると、
海へと続く静かな住宅街を抜け「葉山公園」に到着。

かつて御用邸の馬場であった公園は
南北に長く、目前の大浜海岸に沿って広い芝生が続いている。

休日にはSUPやウインドサーフィンを楽しむ人で賑やかな砂浜だが
今日は子供たちの声と駆け遊ぶワンちゃんたちの天国になっている。

J大浜海岸ではSUPアクティビディを楽しむ3名の姿が見える。

陽が傾き、海面が眩しく輝きだすと水平線に浮かぶ伊豆半島のシルエット
が一段とくっきり浮かび上がりまるで絵画のようだ。

国道に戻りバス停「葉山公園前」から横須賀方面に向けバスに乗る。

バスは長者ヶ崎海岸あたりで葉山町を出て横須賀市へ。
右手に海岸を見ながら走る、通称「南葉山西海岸通り」は
山側にエキゾチックなホテルが建ち、日本のアマルフィーと呼ぶ人もいる。

富士山を背景に「葉山町」と書かれた標識が見える。南葉山西海岸通りを走るバス。左手には大きく広がる海が見える。

休日に多くのサーファーが訪れる長者ヶ崎海岸には、山からの風を受け
いい波のピークを捉えて、テイクオフするボードが点々と波間に揺れている。

国道脇には巨大な椰子の木が枝を広げ夏の本番を待っているようだ。

この辺りは山と海の間を縫うように続く国道と大海原のパノラマが
とりわけ美しいポイントで、バスは夕日を追いかけるように走る。

11月から3月の冷涼な気候と澄んだ空気,富士山が見える条件は実にデリケートだ。
旅人が幸運にも美しい富士に出会える場面は常にあるわけではない。

素晴らしい山と海を見られたらきっと忘れられない
思い出になるだろう。

キラキラ輝く海の先に、大島のシルエットが浮かんでいる。

ちょっと高いバスのシートからは遠く大島の島影も見えて心が躍る。

バスは右に左に揺れながら少し速度を上げる。
水平線は午後の陽光を反映し、眩しくラメの輝きにも似て、車窓はまるで走る額縁のようだ。

久留和海岸は小さな浜に漁港もあり長く突き出たコンクリートの突堤が
沈む夕日に届くように伸びている。

久留和海岸。長く海へと伸びた堤防の先には海と夕日が映り絶景。

天候によっては波しぶきが飛ぶ海岸道路の先に
今回の終着地、秋谷立石海岸が見えてくる。

立石海岸の立石とは高さ12m、周囲約30mの巨岩のことで
岸壁近く荒波を受け立っている。

古来より景勝地として名高く、歌川広重も錦絵に描いている。

気が付けば陽が落ちる海面が茜色から瑠璃色に変わり、
彼方には点々と灯が浮かび上がる。やがてすべてが暗転し潮騒だけがあたりを包む。

夕日の中、海に浮かぶ大きな石のシルエットが見える。

海岸線を北から南へ
美味しいスポット、ショッピング、芸術鑑賞、公園散策と、
よりどりの楽しみを見つけながらバスは走る。

またはゆったりと、胸の鼓動に合わせて歩いてもいい。

ずーっとここにいるから待っているよ、と言っているような
穏やかに佇む葉山の岬をバスで辿ってみるのもお薦めである。

Hayama on the bus-around the coast- vol.2
Yoshifumi,


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「暮らすように滞在する」五感で楽しむ葉山
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